中学英語、難しくないのに難しい

何がどう難しくなったのか

中学英語はかなり難しくなりました。 特に、この地方の教科書 Here We Go は、数ある教科書の中でも、かなり意欲的な教科書です。 その難度もかなりのものです。 ただ、この「難しくなった」ということについて、少し誤解があるような感じもします。

覚えなければいけないことは確かに増えました。 しかし 3年間の総量 で見れば、実は大して増えていません。 これは一体どういうことか。

何が難しくなったのか

例えば Here We Go、中1の Unit 1 ~ Unit 5 を見てみます。

...書いていて、その複雑さにびっくりします。 このような内容の文が、あちこちに散らばっています。 難しくなったでしょうか。そうでもないでしょうか。 かつての教科書であれば、同じような内容でも以下のような整理のされ方になるでしょう。

考え方が全く違うのです。 現在は、一つの Unit に「これでもか」と様々な要素を盛り込みます。 かつての中2,3内容が、たった一文だけ混ざり込んで来たりもします。

確かに大人からみればさほど難しくはありませんが、問題はこれが中1だということです。 ルールが全く見て取れません。 異なるルールのように見える文が乱雑に散らばっているように見えます。 Unit 1 (中1最初の単元) だけでも、構造のパターンを抜き出して比較すると強烈です。

Here We Go 保護者世代 具体例 文法事項
S V C S V C I am a student. be動詞 肯定文
S V not C S V not C I am not a student. be動詞 否定文
V S C ? Are you a student? be動詞 疑問文
S V O - I play the piano. 一般動詞 肯定文
S V' not V O - I don't play tennis. 一般動詞 否定文
S V' V O - I can play the piano. 助動詞 肯定文
S V' not V O - I can't play the piano. 助動詞 否定文
V O - Join us. 命令文
V O C - Call me Kota. 命令文 (VOC)

3年間で覚えなければいけない文法は、たった2つ (仮定法, 現在完了進行) 増えた だけです。 しかし、その時々の定期試験までに覚えなければいけない文法事項は大量になってしまいました。 結果、中学生の多くは英語で大混乱を起こします。

英単語でも同様です

英単語でも同様です。 従来は中学卒業までに習う単語数は約1200語でした。 教科書によって前後しますが、これが約1600~1800語に増えました。 小学校では600語を習うとさていますので、合計で約2200~2400語程度になります。 つまり保護者の方の時代に比べて約2倍です。

2倍ですから、非常に多そうに見えます。 しかし、実は大して変わっていません。 「重要な語」と「そうでもない語」があるからです。 例えば、重要であるに決まっている代名詞を取ってみましょう。

主格 所有格 目的格 所有代名詞 再起代名詞
I my me mine myself
you your you yours yourself
he his him his himself
she her her hers herself
it its it itself

主格, 所有格, 目的格が重要であるのは間違いありません。 ただ、所有代名詞, 再起代名詞となると重要さが減ります。 mine を除き、所有格や目的格の変形に過ぎません。 同じように、語尾変化を起こしただけの派生語も、大して重要ではありません。

以上のように語幹部分が共通のものも多くあるからです。 一つ覚えれば片方を覚える困難は格段に低くなります。

極めて重要な語の数は大して変わりません。 しかし中学生にとっては事情が異なります。 どれが致命的な単語なのか、中学生には全くわかりません。 数が増えたことで、単語1つ1つの価値が満遍なく下がってしまったからです。

その時々が増大したのに、全体量はさほど変わらない

英語が難しくなった、このように言われることの正体は、 重要であることの総量は大して変わっていないのに、 その時々に強制される量が大幅に増大した点にあります。 この差は学習習慣に乏しい生徒にとっては極めて大きな影響を及ぼします。

その結果、生じてしまったのが群馬県公立高校入試で起きた得点分布の偏りです。 恐ろしいことに、100点中の20点が最頻値、20点付近と70点付近のフタコブラクダです。 完全に放棄してしまった人か、それなりにする人、この2種類の真っ二つです。

得点分布

英語はできる限り早い段階で「重要度を絞った基礎部分」を徹底して習得しておく必要があります。 難しいことをする必要はありません。 むしろ「簡単なことを完璧にする」ことが何より重要になっていると言えるかもしれません。