Here We Go の独特な作り
この地区の英語教科書である Here We Go (光村図書) は従来とは異なる意欲的な教科書です。
ただ、その結果、2年生から、3年生から本気を出す、と先延ばしにすると、かなり回復が辛くなります。
例えば 1年生の最初の最初 Unit 1 で特徴的な文を見てみます。
- be動詞 is, am, are
- I'm a student there.
- My birthday is April 2.
- Are you 13 years old, Kota?
- 命令文と勧誘
- Let's go together.
- Let's fill in this form, Kota.
- Call me Kota.
- 一般動詞, 肯定, 否定, 疑問
- I like spring.
- I like fall.
- I don't like spring.
- 法助動詞 can 肯定, 否定
- I can swim and play the drums.
- I can play the trumpet.
- I can't play the drums.
- to不定詞、特殊
- I want to go to Honcho Junior High School.
- What about the last line?
- How about this?
- 疑問詞疑問文
- How do you spell "trumpet"?
- When is your birthday?
- What is your favorite movie?
ここまで様々な内容がいきなり最初の最初 Unit 1 で登場します。
この教科書は「次に来る主たる文法事項を先取りしながら進行するわけです。
もちろん、先取りに当たる部分について、学校では説明が行われません。
まずは接触させる、見慣れさせる、後で理由を与えることもある、というスタンスであるわけです。
ラウンドシステム
この Here We Go という教科書は、ラウンドシステムを前提にしているのかもしれません。
その出版社である光村図書の web サイトにはラウンドシステムの紹介があります。→ ラウンドシステムで英語の学力アップ!
ラウンドシステムは、教科書を早い段階で1周目を終わらせてしまい、何回も周回させる方法です。
横浜市立南高等学校附属中学校の取り組みがその嚆矢です。
状況の確認、音読などを繰り返して接触を増やします。
文法的な自覚を極力廃して「感覚的に読める」ということを重視するものと言えるかもしれません。
ただ、この方法、良い悪いは別にして、非常に難しいのです。
「接触回数を増やす」と簡単に言いますが、リスニングをやって、スピーキングをやって、単語を覚えて、本文の状況を確認して、最低限の文法を確認する、しかも本文が非常に難しい、単語の数も過去に比べて極めて増加したと来ています。
そんなに何でも都合よく行きません。その結果、
- 音読をする
- リスニングをする
- 本文の意味を確認する
- 単語テストをする
- 文法をちょっとする
これだけで時間があっという間に消費されてしまいます。気がついたら Unit 一つが終わっていた という感じになってしまいます。
何をしているのか分からないうちに1年が終わる
その結果、この教科書では二極化が生まれがちです。
- 2年生になってもbe動詞と一般動詞が混ざる
- 2年生になっても代名詞が書けない
- 2年生になっても he と him の区別がつかない
- 第三人称単数のsと複数のsの区別がつかない ...
こういった問題が残りがちです。規則性を抑えて確実に出来る部分を増やしていく、という発想がどうしても弱くなり、「ここだけは絶対に今回覚えよう!」という部分が曖昧になりがちです。
それが蓄積すると、中2半ばになった時、或いは中3になった時、途方に暮れることになります。
中3 Unit 4 (夏休み明け頃) の本文で特徴的なものを見てみます。
- Smartphones which respond to voice commands are common these days.
- Robots which automatically clean your house have become popular.
- In the near future, AI will help us communicate with people all over the world quite easily.
- Thanks to the device, he can easily interact with foreign customers who come to his restaurant.
- AI technology is progressing rapidly, and translation software is useful for exchanging messages.
- Learning about each other's language and culture helps us have a better understanding of each other.
1年の終わりから3年生の夏休み明けまで、1年半もありません。そして、その僅か4ヶ月後には入試です。他の科目もする必要があるため、時間不足が致命的になります。
出来る限り早く、英語には取り組んだ方が安全と言えますね。